銀行 | イタリアよもやま話

銀行

先週木曜に銀行に行った。ある小切手を振り込んで200ユーロ程度を引き出そうと思った。窓口での会話。
「残高が先に知りたいんです。」というと、
「あ~今だめ。コンピュータがブロックしちゃってて、誰の残高見れないよ。」
(またよくある故障か・・・。)
「他の窓口も?」
「全部だよ。」
「じゃ、20分くらいしたら戻ってきますけど。」
「だめだめ、今週頭からの故障で理由がわかんないんだから。」
「今週の初めから~?!なんで?」
「(お得意の肩をすくめるジェスチャーで)わかんないんだよ。」
「じゃ、他の支店に行ってみます。」
「あ~それも無理でしょう。町中全部のの支店でだから。」
「町中の~!?ほかの町は?」
「それは知らない。」
(何で知らないんだ―???)
よりによってイタリアでも最大手の商業銀行である。
(もうやめた!こんなとこ信用できない!利子は勝手にどんどん安くなって、今や限りなく0%に近いし[それも人によって違うし]年間維持費は高いし、詐欺銀行もいいところ!)と思い、イタリアでは普通とされている解約手数料について訪ねる。
「なぜ解約するんだい?」
「あぁ、もしかして日本に帰らなきゃいけないんで。」
「そりゃ残念なことだ。」
「いやはや私も残念なんですが・・・。」
喋りながら彼は200ユーロの引き出し用紙に私のサインを求める。
「君とは永いしねぇ。実に寂しい事だよ。うん、うん。」
「いや、全くその通り。まだはっきりと決めたわけではないんですけれどね。」
「とにかく解約手数料についてはよく知らないから、あちらの係りの人に聞いてごらん。」
「はいはい。では。」
といいつつ、かれに挨拶して他の客と喋っていた係りの人の前も素通りして銀行を出た。でてから目の前の店に入ってショッピング。その支払いの際に財布を取り出してみて、はたと、「200ユーロ手渡してもらってない!!!」と気がついた!急いで銀行の方に戻り、さっきの窓口のあくのを待って、
「おじさん、これ、さっき引き出し用紙にサインしちゃったけど、お互いおしゃべりに忙しくて肝心の200ユーロ渡してもらってないよ!」と言った。
ここで肝心なのは「私の200ユーロ」を手に入れること事。でもイタリアでのクレームテクニックは難しい。
《成功するクレーム方法の3原則》
1.こっちが被害者であろうが客であろうが、相手の下手に出る。自分にとって一番大事なのは、カッとなって相手の否を責める事ではなく、自分にとっての損害・被害を最小限にとどめることだということを忘れない。そのためには虚栄心やプライドを捨てる。(ぎゃくにこっちの否をチラつかせ、いたって下手に出る。
2.そこに関係する知り合いを通して談判する。(裏から手を回す)
3.余計なエネルギーと時間を費やさずにさっさと諦める。
この3原則、分かっちゃいるが、なかなか実行できない。ましてやイタリアの窓口の対応が無愛想なときの、腹立たしさたるや、失礼を通り越しているからだ。
今回の場合、この窓口のオッサン、もう半分定年退職したかのようなトロさで、こちらがカットさせられるような無礼な態度とは程遠かった。見ていても同僚の彼に対する態度も冷ややかである。
呆れたのは、再度銀行に舞い戻って200ユーロを求めた時、
「あれぇ~?おっかしいねぇ。あげてなかったっけ?」
と、自分側のチェックすらせずにすぐに200ユーロをすぐにくれたこと。わざとちょろまかしていたか、ホントに忘れていたのだけれど私の主張の真否もチェックせずに支払うほどトロいか、どちらにせよ、この銀行この支店は信用置けないと、解約の意思を益々固めた私であった。