ナポリの市バスで | イタリアよもやま話

ナポリの市バスで

ローマ人の友達がナポリで市バスに乗った時の、驚く話を聞かせてくれた。
ある停車場でお婆さんがえっちらおっちら乗り込んで、○×△を通るかどうか、運転手に聞いてきた。
「シニョ―ラ、全く反対方向だし、この通りにその方向に行くバスはないよ。困ったねぇ。次で降りても、あと2回は乗り換えなきゃいけない。」
お婆さんは途方にくれて、どうしたらよいのかわからないという様子。そこで運転手、乗客皆に向かって、
「すまないけれど、このおばあさんを送って○×△へ回り道したいので、急ぐ人はここで降りて次のに乗って下さい、いいですかー。」
と言うなり、バス停で急ぎの乗客を降ろして、おばあさんを目的地まで送ったとか。友達は観光だったので面白半分に乗りつづけてたら、おばあさんを送った後はまたもとの路線に戻って勤務を続けたらしい。なんだかすごい話だけれど、友達は
「運転手も運転手だけど、黙って降りた乗客も乗客。こういうことはローマの人間はしない。だからナポリ人は大好きなんだ!」
と興奮して話していた。